沼尾ひろ子の朗読の世界「ジュラ紀終焉」

著者を前に朗読することほど、緊張することはない。と言いたいところだけれど、このような機会が生まれたことに大興奮する私がいた。小宮さんとまったく別のタイミングでお会いして、その時、たまたま話の流れから恐竜の話題になった。私もマニアというほどではないけれど、子どもの頃、恐竜の図鑑をみて、わくわくしたのだった。こんな大型の生き物が地球の主人公だった遙か昔に、心ときめいた。なんだろう、この説明しようのない沸き立つ思い。彼らの時代は空想の中でしか再現できないけれど、でも、まぎれもなく確かにこの地球に存在したのだ。そんなことを夢中で話していたら、「ぜひ読んでください」と、小宮さんからこの本を手渡された。ジュラ紀! え〜!? 読みます!ぜひ、読ませてください! 一刻も早く読みたい私は、帰りの車をアクセル全開で飛ばした。いえ、飛ばしすぎないようかなり注意して運転したのだった。

圧巻だった。小宮さんの描写は、立体的で、色と温度、匂いまでも、体感できた。ジュラ紀がまさにそこにあった。恐竜たちは生きるためだけに脳を使い行動する。人間も生き延びるためだけに知恵を絞る。そこにあるのは、「生きる」ことだけ。善悪は存在しない。命あるものは、生きることをあきらめない。でも、圧倒的な宇宙の力は覆しようのない運命となって立ちはだかる。それでも、生きることをあきらめない。それは、力強いメッセージだった。

私は、一気に朗読のための文を書き上げた。

いよいよ、その日。小宮さんが、KANOUYA BASEにやってきた。

私は、小宮さんの「ジュラ紀終焉」を、沼尾ひろ子の朗読の世界で表現した。

声は魂の音。

その「時」へ、誘う。

1時間30分の朗読の世界から現実の世界へ帰ってきた時、小宮さんが言った。

「あなたの『ジュラ紀終焉』を、もっと多くのひとに朗読してください!」

私は、深く頷いた。

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この記事を書いた人

朗読家/ナレーター/フリーアナウンサー/言語ボイストレーナー

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