メンデルスゾーンの「夏の夜の夢」

メンデルスゾーンは、17歳の時この戯曲を読んだ。イギリスの文豪シェイクスピアが1595年頃に書いた「夏の夜の夢」は、メンデスゾーンの感性を揺さぶり、彼は興のおもむくままピアノの連弾の序曲を作曲し、のちにオーケストラに編曲した。この「序曲」は、まさに妖精のたわむれを幻想的に表現し、若者たちのおかしくも情熱的な恋愛模様と織りなし、1年で一番昼の長い夏至6月21日の夜、幻想的な事象や怪奇な事柄が起こるという伝説に基づいて、聴いているだけでなんとも不思議なある種愉快な気分になってくる。

「序曲」は、彼が1826年に読んだ後作曲され、この時作曲されたのはこの「序曲」だけだったという。あとの曲は、メンデスゾーンが34歳の時、プロシア国王フリードリヒ・ヴィルヘルム4世の命で作曲され、「序曲」と他の曲との間には、なんと16年の月日が横たわっていた。

第9番の結婚行進曲はあまりにも有名だが、やはり私はこの「序曲」の摩訶不思議なワクワク感が「夏の夜の夢」そのもので、メンデルスゾーンが音楽で表現するとこうなのね、と深く納得するのであった。

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ナレーター/朗読家/司会/声とことばのトレーナー

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