18日は日記にもこう書いた。
《私はバカだ。一刻も早く仕事にもどりたいと思ったのだ。仕事はしない》
リハビリテーション実施計画書の「失語症」の文字は、「あなた、もう仕事は無理ですよ」と 言ってるも同然。ずっと、仕事、仕事と言ってた私がバカだった。
「もう仕事、しなければいいんだ」と書くと自分でも不思議なほど心が軽くなった。
だが、それも長くは続かなかった。夜を迎え、朝になると、曇り空を見つめながら、どうしようもなく落ち込んでいる自分がいた。どうして、朝はいつもこんなに気持ちが暗くなるんだろう。死にたくなるほど苦しんでいる。ひとりになると、さらに気持ちがふさいでくる。だから、何度も《仕事はしない》と日記に書き、自分自身に「仕事はしないと決めた」と思い込ませて、ラクになろうとしていた。
いつでも私は自分の可能性を信じ、何かを追いかけ続けてきた。いつも、やりたいことがあり、目標を定めると、そのために何をしたらいいのかを考え、着実に前進し、目標へと近づいていく。ひとつの目標をクリアできたら、また次の目標。常に自分は何かに向かって前進しているという感覚を得ながら日々を送るのが好きだった。ゆっくり休むとか、のんびり過ごすというのは苦手中の苦手。
しかし、私は今、途方に暮れていた。真っ暗な迷路の中をさまよい歩いていた。
これからどうやって生きていけばいいんだろう。
相変わらず胸のドキドキはおさまらない。寝ていても起きていても、ドキドキして苦しい。
死んでしまいたいと思いながらも、動悸が激しくなると息が止まってしまわないよう、大きく深呼吸して息を吐き出す。
〈続く〉
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