失語症を学ぶー④脳の情報処理アプローチ

脳を情報処理ボックスとみなしてみましょう。

① 情報がボックスに入力されます。

② ボックスの中で、伝達・変換・貯蔵 これらの処理がされます。

③ 言葉や行動などで出力されます。

 

たとえば、言葉を聞いて復唱する処理は脳の情報処理ボックスの中でどのように行われるでしょうか。

入力:他人の口から発せられた音声 / 出力:復唱する自分の声

 

① 脳が音声をキャッチします。

② 人の声と判断します。(騒音ではない)

③ 日本語の音韻と照合します。「音韻の固定」

④ 意味の照合を行います。〜固定された音韻が脳内の語彙の貯蔵庫にあるかサーチ(知ってる/知らない)*意味理解は別

⑤ 脳の中に音韻として把持した言葉を、その通りに発音表出する処理を行います。 *把持:記憶機能の中に保つこと。 ここでまごまごしていると、把持していることができなくなり情報そのものが消えてしまう

⑥ 自分の口から聞き取った同じ言葉を表出します。

言葉を聞いて復唱するアクションは脳の中のこのような働きによって可能になります。脳の活動を情報処理の過程としてモデル化することは、失語症の訓練をする言語聴覚士の方にとって大変有益です。

なぜならー

① 失語症の方にいろいろな情報を入力します。

② そこから得られた反応=出力情報をもとにボックス内のどの処理過程が障害されているか推定できます。

③ それにより有効な訓練方法を考案できます。

どこが障害されているかによってさまざまな失語の症状があり、具体的でピンポイントの訓練方法を決定することはリハビリをより有効なものにすることでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

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この記事を書いた人

ナレーター/朗読家/司会/声とことばのトレーナー

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