NPO法人として活動することになりました

2008年「脳梗塞患者と家族のための精神的自立支援の会」としてスタートした会。

当初の目的は、失語症の方ご本人、ご家族の方双方とも孤立することなくつながりながら前を向いて生きていきましょう、との思いから交流のもてる場の提供でした。

わたし自身、実家療養中もっとも欲していたのが、同じ経験をしている人との交流と情報でした。そのくらい先の見えない不安でいっぱいだったのです。それは家族にとっても同じことだと思います。一番身近な人間だからこそ言えないことがある。本当のことを言えない。今まで普通にケンカできたことが、理性が働いている時吐き出したい感情を言葉にすることができない。それは愚痴です。「どうしてわたしがこんなことに」「どうしてウチのおとうさんがこんなことに」「なんでわかってくれないの?」「こんなに親身に世話しているのになんで怒ってばっかりいるの?」「これから先どうなるんだろう」「家のローンが何十年も残ってるのに」今まで当たり前のように言い合えた家族としての本音が言えない。それは、相手に対する思いやりがあるからなのですが、その思いやりは自分自身を苦しめ、我慢の壺が満タンになるとある日突然あふれてしまう。

大げんかできればしめたものですが、閉じこもった殻から出てこられなくなり鬱になってしまいます。

失語症は当人、家族の人生を一瞬にして変えてしまいます。

どうして?と問いかけているうちは感情の波が荒立っているからまだいいのです。その波すら立たなくなって生きている意味を見いだせなくなってしまったら・・・。息をしているだけの人生。

生きている意味を考えてください。

あなたの生きている意味はなんでしょう。

笑っている時間はありますか?

ほんの少しでもいいから笑えたらそれは生きている証。

笑っている時間を毎日少しづつ増やしてみてください。

たくさんじゃなくていいんです。少しづつ。

今日、おはようが言えた。よかった。ニコ

おかあさん、前登った山なんだっけ?おとうさん、それはね・・・会話が成立したぞ。ニコニコ

今まで、あれもできない、これもできないとできないことばかりがのしかかって、自分はダメダメ人間なんだと思い込んでしまってた。ダメダメな自分を雇ってくれる会社なんてない。仕事もできない自分は生きてる価値もない。

このマイナススパイラルを断ち切らないことには、あなたは自分の人生を歩めないのです。

「どうせできない」「ほんとうはこうしたいけど、無理だからしかなたく別のことをやる」「それもこれも脳梗塞になんてなったからだ」

このマイナススパイラルはいい訳の温床です。できないいい訳ばかりする人生が本当にあなたの歩みたい人生でしょうか。そこを断ち切らない限りずっとこの先も人のせいにばかりすることになってしまいます。

とても辛いことだけど、後遺症でできないことをまずはしっかり見つめる。自覚する。その上で、だったらなにができるのか、望んだ道を歩めるのか、考える。これがプラスの「できる」思考です。

精神的に自立しましょう。その思いから立ち上げた脳梗塞患者と家族のための精神的自立支援の会は時を隔て、「朗読」を通して達成する喜びを共有できるようになりました。「精神的」とあえて言わなくてもよくなったのです。

会は月に一度の朗読会を行ってきました。次第に全国からメールが届くようになりました。それは、切実な声でした。

「家族4人どうやって食べていけばいいのでしょう」「死という言葉が頭をよぎります」

それは、収入が途絶える恐怖と不安の声でした。笑顔で生きていくためには生活の安定が絶対必要です。それまで、精神的に自立して前を向いて歩いていきましょうと伝えてきましたが、それだけでは真の意味の自立にはならない。本当の自立とは、経済的自立と精神的自立の両輪がそろって初めて成立するのです。

2014年。NPO法人脳梗塞患者と失語症者の自立支援の会として活動することになりました。失語症の方が笑顔で生きていくために、地域の人や企業に失語症を理解してもらいたい。そうすれば、決して知的障害ではないこと、どんなサポートがあればいいのかとわかってもらえる。失語症を知ってもらう活動と脳梗塞にならないための予防、そして、発足当時と同じように、当人家族双方が孤立しないようにつながっていく。

わたしたち人間は、だれでも平等に笑顔で生きる権利はあります。

そのためにできることを、これからも精一杯やっていきたいと思います。

 

 

 

 

 

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この記事を書いた人

ナレーター/朗読家/司会/声とことばのトレーナー

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