不思議な出会いである。
その日、忙しく掃除機をかけていた私は、夫のデスクに置かれていた本にふと気づいた。
広島カープの話? プロ野球に興味があったっけ?と思いながら
なにげなく手に取った。
ページを繰っていくうちに、
どんどん引き込まれて、
気がつくと掃除そっちのけで、読了。
胸いっぱいにあふれる感情は、静かで
でも、激しくて。
私は、ないていた。
どうしてないているんだろう。
わからなかった。
ミツ子のつつましやかに生きてきた時間にふれて。
1945年。
広島。
二人。
ミツ子と私。
私は、ミツ子の生きてきた時を
静かに朗読した。
めぐりめぐって
この本の著者で、映画脚本家の保坂延彦氏の耳に届いた。
保坂さんと私。
出会った。
二人。
生きることは出会い。
ひとりじゃない。
私の声で伝えること。
私にできること。
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