雨の竹林 平家物語を朗す

日が暮れて、雨が音をたてて地面をたたきはじめた。

ライトアップされた竹林が光を放つ。

綺羅 綺羅 綺羅

さて、そろそろお時間でございます。

遙か遠い時の彼方から、しかし、はっきりと、それは気の波にのって私の耳に届く。

全身を「時」」の気が包み込み、

私の声は、私の声なのに、私の声ではなくなる。

栄華を極めたあの一門のものたちが

語ってくれよ、と願い乞う。

祇園精舎の鐘の声

諸行無常の響きあり

沙羅双樹の花の色

盛者必衰の理をあらわす

おごれるものも久しからず

ただ春の夜の夢のごとし

たけきものもついにはほろびぬ

ひとえに

風の前のちりにおなじ

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この記事を書いた人

ナレーター/朗読家/司会/声とことばのトレーナー

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