どうして人魚姫は、ひとめぼれの王子さまにこれほど真心を尽くすことができたのか

人魚はあこがれだった。海の中にいるおひめさま。子どもの頃、色鉛筆でよく海の中ゆらゆらゆれてるワカメや幻想の中の人魚姫を画用紙いっぱいに描いたもの。想像の中でしか会うことができないからいっそう好き度がアップしたのだと思われます。王子さまとむすばれない悲劇のおひめさまも人魚姫以外いないですよね。こんなかわいそうな童話なのに、愛され続けてきたおひめさまが人魚姫だった。

どうして、ひとめぼれの人間の王子さまにこれほどまでに真心を尽くすことができたのか。朗読文を書き進めていくうちに、疑問が頭をもたげ、そして、書き終わった時、私の中で謎は解けた。

「人魚姫」は、童話が初めて文学として認められた作品で、アンデルセンが世にその名を知らしめたのもこの先品のおかげだった。ただのおとぎ話ではなく、大人が思考の深い海にただよえる文学としての地位を確たるものにしたのだった。キーワードは「永遠の魂」。人間と人間でないもの。人魚姫は人間でないものなのだ。

「愛する」という行為は自己欲求。でも、人魚のおひめさまは「真心を尽くす」のである。人を愛する感情を超越したものが「人魚姫」には描かれている。

最後の4行に、そのすべてを、謎の答えを書き上げ、声にのせた。

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この記事を書いた人

ナレーター/朗読家/司会/声とことばのトレーナー

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