割り箸滑舌練習法

いつも顔の準備体操を入念に行います。声を出すことを促すには土台が大事なのです。ここで言う土台とは口の周りの筋肉のことです。ただ声を出すのであれば呼吸法が大事なのですが、みなさんが求めているのは、自信をもってひとと話をすること。自信をもつとは、はっきりとした発声、ひとに聞き返されない発声です。つまり、滑舌です。滑舌をよくするためには、正しい口の形ができることが必要不可欠です。そこで、私が行っているのは母音5音の滑舌体操です。あ・い・う・え・おの口の形を運動機能を使いながら発声とともに覚えさせます。とても変な顔で行うので変顔体操とも呼んでいます。変な顔なら変な顔ほど口回りがよく動きます。上手くできない、というひともいるのですが、そんな時私はこう言います。上手く出来る必要はありませんよ、これはいつも使っていない筋肉を動かす運動ですから、意識するだけでずいぶん違うんですよ。と。本当にそうなのです。片麻痺で左右で動かしにくい側がそれぞれありますから、たくさんの無理をしないで、ほんの少し負荷をかけるぐらいで充分柔軟さが出てきます。

そのように行ってきた滑舌体操に今日は秘密兵器を投入しました。割り箸です。これを取り出すと、みなさん、くわえるんですか〜と声を上げました。よくわかりましたね、そうです。今日はこの割り箸をみなさんにくわえていただきます。では、どうやってくわえましょうか?そう尋ねると、みなさん、う〜んと首をかしげました。そうそう、その前にもうひとつみなさんに渡さなければ!それはサインペンです。そういって、色とりどりのサインペンみなさんの好きな色で選んでもらいました。まずは、「あ」の口の形です。まずはいつもと同じようにギュッとつぶってパッを行います。数回繰り返した後、割り箸を縦に持ち、あの口の形を保ったまま、上唇と下唇、つまり、縦に開いた直径の内寸で記しをつけます。記しをつけた割り箸を改めてみて、へ〜、こんなに開いてるんですね!と驚嘆の声が上がりました。そうなんです。口を縦に縦に、といつも教えるのですが、改めて意識して開けた口の大きさが意外に大きいことにみなさん驚かれます。このように、目で確認することも大切なことです。次に、「い」の口の形で練習します。これは割り箸を横に、歯ではなく両唇でくわえます。そのまま、左右に動かします。なにもくわえないで左右に動かすよりもより運動効果が上がります。「う」の口の形で練習する時は、割り箸の先端をくわえます。すると、「これ、ころんだら死にますよ」。ほんとうですね、みなさん、ぜったいころばないでくださいね。と真顔で私はお願いしました。そして、くわえた割り箸を鉛筆に見立てて、のの字を書きます。これは少し難しいです。みなさん、苦戦していました。これもじょうずに書けなくてもいいのです。書こうと意識することがとても大事です。このように、割り箸を使った滑舌体操はレクレーションの要素もあり楽しくできました。使った割り箸はみなさんにそれぞれ持ち帰ってもらいました。プレゼントです。家で練習できればいいですが、くれぐれも「う」の練習はくわえたままころばないように気をつけてください。

いよいよ来月は、「クリスマスキャロル」の総仕上げです。効果音も用意してこようと思います。ご家族が見学に訪れる方もいるようです。楽しい会になりますように。

 

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この記事を書いた人

ナレーター/朗読家/司会/声とことばのトレーナー

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