クリスマス朗読会♪〜感動をありがとう

今年最後のボイストレーニングはクリスマス朗読会と題して、チャールズディケンズの「クリスマスキャロル」を発表する会でした。見学の方も多く、ご家族や兵庫県から来た学生もいて、総勢16名。にぎやかな会になりました。いつも少人数で行っているので、「観られていて緊張するなあ〜」なんて言葉も飛び出しましたが、良質な緊張は脳の血流を促す意味で時には必要です。わたしはというと、いつもと違う雰囲気で行うことで参加者が萎縮してしまわないように、また、初めて参加の方も同様に、場になじんでいけるように気を配り楽しい会になるようつとめました。

いつもどおり最初は自己紹介からしてもらいましたが、またこの会ならでは、順番はしたい人からしてもらいました。だれが最初にしますか?と聞くと、「え〜、じゃあ、僕からします!」また、自己紹介の途中で聞きたいことがあれば、その場で質問してもらいます。本当にうれしいことです。そうやって、自分の意志でなんでも決めていくこと、積極的に物事に関わっていくことは、最初に自分の殻をやぶることからスタートしてほしい失語症の方にとって大切なことです。そうじゃないと、与えられたことしかしない指示待ちが身についてしまい、ひとまかせの生き方になってしまいます。

自己紹介のあとは、顔の準備体操をじっくり行いました。割り箸を使った口まわりの運動機能を促す運動、大声発声法のあとはいよいよ朗読です。

ストーリーを紹介するとー 金の亡者のような主人公スクルージのもとにクリスマスの夜、幽霊がやってきて、自分の過去、現在、未来へ連れていきます。それをみたスクルージは自分の行いを悔い改め、だれからも尊敬される心やさしい人間になっていきました。というもの。わたしが子どもの頃母に買ってもらった大好きな絵本の一冊で、お話のわかりやすさや登場人物の人数とともにクリスマス朗読会にぴったりだなと思って選んだのです。

今まで、何度も参加している方は自分がやりたい配役を決めてありましたが、前回ナレーション担当とスクルージ担当を、それぞれ得意分野と重点的に練習したい部分が逆の方がしっくりくるという申し出から急遽交代することになったため、実際に群読で行うのは初めてです。また、今日初参加の方にはその方にとって有効と思われる登場人物をわたしの方で割り振りました。

自主練習の間、それぞれのパートを個別にアドバイスしていきました。

言葉が流れてしまう方には、ひとつの音、特に、次の音に引っ張られやすい母音を、口の形で整えることにしました。

文の意味理解ができていて、正確な発音と文字との整合がうまく結びつかない方には、セリフの感情部分を表現力で引き出しました。

発音・発話、文字理解、ともに、ままならない方には、体力的なことも考慮して最小単位の言葉での練習を2,3度してもらいました。

速読と滑舌を重点的に理解したい方は、音読の練習をせずにぶっつけ本番になります。

声量が少し弱い方には、姿勢と目線のアドバイスをしました。

私自身は効果音を用意しました。鐘の音や賛美歌やドアをたたく音などです。場面転換でうまく音を出す役目がわたしです。専門分野ではないしというわけで、全員が初めての試み。見学者もいるし、いやがおうにもスリル満点の朗読のいよいよ本番です。

♪さやかに星はきらめき *教会の鐘の音

ナレーション

効果音 ドアをノックし、開け、締める音

フレッド

スクルージ

クリスマス賛美歌

〈完〉

 

拍手が湧き起こりました。

涙をおさえているお母さまもいます。

みんなの顔、どの顔もすてきな笑顔。

どのひとも、どのひとも、みんな、すばらしかった。

なんて、すてきな声でしょう。

声と心が一体となった時間でした。

感動をありがとう。

 

IMG_1186

 

 

 

 

 

 

 

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

ナレーター/朗読家/司会/声とことばのトレーナー

コメント

コメント一覧 (1件)

  • いつも沼田さんのブログ、楽しく拝見させて頂いています。大勢の人に自分の伝えたいことを
    どのように話をしたら良いかを、いつも悩み考えていますが、言葉をはっきり、明確にどのように伝えるのかが大切ですね。割り箸滑舌練習法、興味があります。いろいろ発信して下さい。小森

コメントする

目次
閉じる