3月26日(土)の沼尾ひろ子の朗読の世界の作品をケストナーの「動物会議」に変更しました。やはり、今だからこそこの本を朗読したいのです。1949年、ケストナーは子どもと大人のための家庭の本というカテゴリでこのお話を書きました。少しも成果のあがらない人間の会議をみておこった動物たちが,世界平和のために一大会議をひらきます。動物たちはこんな戦争ばかりの世界では「子どもたちがかわいそうだ」と人間にある条約を締結させるために、考えられないような方法を実行します。原作はエキセントリックですが、このお話が書かれた時代背景とケストナーの生い立ちを考えれば、その思いがひしひしと伝わります。1899年 東ドイツのドレスデンで生まれたケストナーはヒトラーのよるナチス支配のただ中、亡命せず児童文学を書き続けました。「エミールと探偵たち」が有名です。1960年「わたしがこどもだったころ」で国際アンデルセン賞を受賞しました。生涯を通して、子どもたちのためにペンを執り続けました。この本を読んだ時、私は衝撃を受けました。こんな童話があるなんて!と。子どもには言葉が強すぎるとも思いました。けれど、大人と一緒に読んでほしいという彼の願いは、本の意味をおとうさんおかあさんに伝えてほしかったのではないかと思うのです。ケストナーは動物たちをとおして、怒っている。何も学ばない、何も変わらない、形だけの会議ばかりしていないで、子どもたちのための未来を約束するために、手を取り合いなさいと。
今、この時。私はこの本を朗読することにしたのです。私の朗読の世界のために、優しい表現に書き上げました。どうぞ聴いてください。
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