生きるよろこびを教えてくれた朗読

/夢が叶ってアナウンサーとなり、テレビの情報生番組のナレーションを担当して、気がつくと人生の半分が過ぎました。

毎日が、瞬時に渡された原稿を映像に合わせて正しい滑舌で読むスリリングな日々、ラジオの人気番組で隠しマイクで体当たりの生放送、充実した日々を送っていました。

​ところが42歳の時突然、脳梗塞を発症し失語症となりました。

取り巻く世界はぼんやりとし、周りが何を言っているのかよくわからない。

本や新聞の文字が頭に入ってこない。

文を声に出して読むこともうまくできないし、テレビを観てもわからない。

メールも打てない。

何か伝えたくても言葉が浮かんでこない。

私は自分がみじめで、ひきこもっていました。

そんなある日、母が通う地域の朗読サークルに誘ってくれました。

そこで出会ったのが「フランダースの犬」。

見学していた私は、楽しそうに練習しているみなさんを見ているだけで心が氷解していきました。

でも・・・、それだけではなかったのです。

欠員の代役を突然頼まれて私は窮地に陥りました。

ああどうしよう。たった3つの短い台詞。

うまく言葉ならないにきまってる。

でも・・・。

みんな困ってるんだ、やってみよう。

こんなにドキドキしたことは生放送の現場でもありませんでした。

できるかどうかわからない恐ろしさ。

第一声がちゃんと声になって教室に響いた時、

何も知らないみなさんが、「たすけてくれてありがとう」って喜んでくれた時、

うれしくてうれしくて涙が出ました。

人生のすべてをあきらめかけた私に、

ことばで伝える喜びをもう一度気づかせてくれました。

それから毎日、文学作品を声に出して読み始めました。

うまくできなくてあたりまえと自分に言い聞かせ、

最初は、文字をできるだけ早く正確に読むことを心がけました。

それから、文章を理解し、情景を思い浮かべて読むようにしました。

それは、自分の声で映画を観ているようなまったく新しい感覚で発見でした。

生放送の現場に復帰した後、YouTubeやSpotifyなどのソーシャルメディアで

日本文学、古典、外国文学を朗読作品を配信し、

気がつくとその数はまもなく1000に達するまでになりました。

声で物語る。私自身の文学作品の学びでもあり、聴いていただく喜びとなりました。

私の「朗読の世界」。

長年あたためてきた「朗読の世界」を皆様にお披露目する機会をいただきました!

3月20日(水)原宿ペニーレーン

17時-18時

定期開催に向けて一人でも多くの方に私の朗読を聴いていただけたら幸せです。

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この記事を書いた人

ナレーター/朗読家/司会/声とことばのトレーナー

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