枕草子を今年最初の朗読の世界に選んだのは、清少納言が好きだったからである。 あっけらかんとした物言い、底抜けの明るさ、頭がいい、自分の容姿には若干のコンプレックスがあって憎めない。 この時代にいたら、きっとめっちゃ友だちになっただろうな。 外向では、日々のできごと、感じたことを小気味よく斬り(ダメ男くんなどはボロクソ)、 内向では、彼女が感じる自然が、文才とともに美しく心に届く。対比対象。 時と場所の。素晴らしいのだ。才女とは清少納言のことを言うのだろう。 そして、宮廷時代の回顧。 キラキラした、私達が想像する絵巻のような世界を、清少納言も同じように、 キャーキャー言いながら(気後れしながら)宮仕えしたのね。 私が平安時代が好きなのは、清少納言のおかげだ。 清少納言が生きた一条天皇の時代。 優美で華やかな平安時代。 政治の世界では、藤原氏が圧倒的な権力を握り摂政関白政治を執っていた。 その権力争いの中枢に置かれたのが、一条天皇。 そして、清少納言が使えた藤原定子は一条天皇がこよなく愛した中宮だった。 定子は、清少納言より10ほども若いのに、聡明で美しく、品格と優しさを兼ね備えた 女性だった。 定子は権力の争いの渦に巻き込まれ・・・。 どのような不遇な境遇になろうとも、品格と明るさを失わずに生きる定子。 清少納言は、決めたのだ。 定子さまの気高さ、強さ、優しさ、それを自分も文で。 けっして、恨み言、泣き言は書かない。 楽しく、生きた、定子さまとの日々をつらねようと。 だから、枕草子は、底抜けに明るい。 定子を追い落とした藤原道長のことさえ、権力者としての威厳を評する。 枕草子の一七六段。清少納言の初宮仕え。 泣くまい。私も。 みんな、泣かずに笑ったのだ。
藤原定子と清少納言と
2022.01.31
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