失語症を学ぶー③脳

失語症を理解する上で脳の役割について知っておくことも大切です。

動物が生命を維持していくために必要な機能(運動・知覚)が一次機能、思考や言語行動の機能が高次機能です。

大脳、小脳、脳幹、脊髄の中の神経細胞を中枢神経と言います。その中枢神経がさまざまな役割を担っているのです。

大脳の中で一次機能を司っている場所が一次中枢です。人間の脳は一次中枢の占める割合が動物の中で最も少なく、高次機能の占める割合が大部分です。

大脳は左右相似型の半球です。

大脳半球を横から見ると、

前頭葉=前方の半分

側頭葉=こめかみ

頭頂葉=頭のてっぺんの後ろ半分

後頭葉=さらに後ろ

の4つに分けられます。

言語中枢は主に左半球にあり、前頭葉(下前頭回)にブローカ中枢=言葉を表出する機能

側頭葉(中・上側頭回後部)にウェルニッケ中枢=言葉を聞いて理解する機能

頭頂葉(角回・縁上回)に文字や計算の意味を理解したり書いたりする機能 があります。*局在には個人差があります。

 

大脳の表面は細胞の集まりで、神経細胞=ニューロンの数が多いほど機能が高いと言われています。

ニューロンは誕生した時140億個あり15歳までに急激に減少します。一日に10〜20万個のニューロンが死んでいき、15歳を過ぎると直線は緩やかになり死亡するまで減少し続けます。

ニューロンは一度損傷を受け死ぬと元には戻りません。

ニューロンが減少し続けるのに対し、脳の重量は15歳まで増え続けます。これは1つのニューロンが出す樹状突起や軸索の作るシナプス=接合部が増加し、ニューロナルネットワークが増加するためです。

いくつになっても新しいことを記憶したり学習したりできるのはニューロナルネットワークが高齢になっても継続するためです。失語症のリハビリテーションに生きているニューロンを刺激し活動させることが関わってくるのはそのためでしょう。あきらめない事が大事なのも納得していただけるのではないでしょうか。

 

 

 

 

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この記事を書いた人

ナレーター/朗読家/司会/声とことばのトレーナー

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