11月朗読の一日

「母をたずねて」。13才の少年マルコがイタリアからアルゼンチンに渡りたったひとりでおかあさんを探し求め歩く物語。途中さまざまな困難に出会いますが、助けてくれるひとにも出会います。そして、最後はほんとうにひとりで、荒野を何日も何日も歩き続けるのです。でも、おかあさんの命の炎は消えかけていました。マルコはおかあさんに会えるのでしょうか・・・。このお話に、先日80才のおばあさまは何度も何度も涙を拭いて、「生きていれば、つらいことがいっぱいあるけれど、がんばっていれば、たすけてくれるひとが必ずいるんだよねえ」としみじみおっしゃったのです。私は、そのおばあさまの言葉に、さらにうるっとし・・・。私は朗読をするんだ!ずっとこれからも。そう強く思いました。

「どんぐりとやまねこ」は宮沢賢治の童話です。朗読している最中、おもしろいことが何回も起こりました。一郎がやまねこをたずね歩いている時、「お〜い、栗の木、見なかったかい?」と聞くと、風がざわ〜っと吹いて竹が揺れはじめました。今度は「お〜い!リス、見なかったかい?」と聞くと、それに応えて、キーキーキーと野鳥が鳴き出しました。「お〜い、笛吹き見なかったかい?」と聞くと、枯葉がゆらゆら、舞いました。

「まるで、その世界にいるみたい!」「すてきだった〜!」と口々に言ってくれて、ああ、竹林の舞台で生朗読の醍醐味!これだわ!と私もめっちゃうれしかった!

「ごんぎつね」は、最後のシーンに、みなさん目を真っ赤にして聴いていらっしゃいました。ちょうど、ごんは栗を兵十の家に持って行ってあげるのですが、季節はまさに今。自然に感じることもできたのではないでしょうか。

朗読の秋の一日。私の心のⅠページに刻まれました。みなさんも、心に残る一日になったでしょうか。

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この記事を書いた人

ナレーター/朗読家/司会/声とことばのトレーナー

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