あの頃の自分と比べるのではなく、これからの自分になにができるか

 

どうしても、できないことに目が向いてしまう。「ダメだ」「こんなじゃなかったのに」と落ち込んでしまう。その思いを懸命に伝えてくれる姿に、すごいなあ、えらいなあと頭が下がるのです。当時私は、ダメな自分をひとに見せることすらつらくてできませんでした。伝える言葉を発することすらできなかったのです。殻に閉じこもり、電話に出ることもできなくなりました。仕事に復帰したいのに、仕事をする自分を想像しただけで、パニックになりました。そんな経験をしているから、ダメな自分しか見えない心境が痛いほどわかります。このままじゃいけないのにどうしたらいいかわからない。なにをがんばったらいいかわからない。だからこそ、伝えたいのです。あの頃の私に比べたら、どれほどがんばっているでしょうか。少なくとも家から出て、みんなの前で自分の思いを必死に伝えている。わかってもらおうと努力している。聞く方も、どういうことを伝えたいのか伝わる努力をしているのです。私は、毎回、教室に参加しているみなさんそれぞれの「できる」カルテを綴っています。それを読むと、初めて教室を訪れた日からどれだけのことができるようになったかよくわかります。ほら、ぜんぜんできないじゃなくて、こんなにできることが増えているんですよ。電話の応対も、今日は、伝言に進み、定例言葉まで、スムーズに出るようになりました。このように、できる体験を積み重ねていきましょう。そして、あの頃の自分と比べるのではなく、これからの自分に何ができるのか、考えてみましょう。そこに向かって、一緒に一歩ずつ進んでいきましょう。

次回は、6月13日です。

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この記事を書いた人

ナレーター/朗読家/司会/声とことばのトレーナー

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  • いつも拝見しております。脳梗塞リハビリ施設を運営しております。患者様やその御家族と接する上でとても参考になっております。今後とも宜しくお願い致します。

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