小さなおもちゃ箱からおもちゃを捜す会話レッスン

”おしゃべり”はだれもがフツウにしていること。ちゃんと”おしゃべり”したい、って、どういうこと? そう思いますよね。でも、失語症を持つ人にとっては、切実な願い。

会話はキャッチボールとよくいいますが、キャッチボールは、お互いにとりやすいボールを投げ合います。わざととりにくいボールを投げる時もありますが、それは意図的に行うこと。失語症を持つ人は、一生懸命、適正な言葉を捜して相手によいしょっと投げる。やっと投げたと安心する間もなく、相手からどんなボールが返ってくるかわからないので、神経を研ぎ澄まして身構える。どういう答えをすればよいのか、一生懸命考える。考えているうちに、相手は、こういうことね、と、ある意味、先回りの納得をする。そうそう、とうなずくこともあれば、いやそういうことじゃなくて、と首をふることも。でも、じゃあ、なに?と聞かれて、また、言葉捜し。そのうち、それはもういいよ、と、会話はもうはるかむこうに進んでる。疲れ果てて追いついていけないですよね。

会話は、とても大切なコミュニケーションの手段だし、どんどん会話することをお勧めします。それには、適切な方法が必要です。満天の星空の中から、ひとつの星を見つけることはとても難しい。ごく小さな箱の中から、おもちゃを見つけることは、それほど難しいことではありません。どちらも目的は同じ。目的はひとつ。見つけたいものを見つけること。まず、小さなおもちゃ箱からさがして、見つけたよ!とうれしい体験を積み重ねよう。その小さな箱は、いくつかあって、この箱から見つけてね、今度はこっちの箱よ。と、教えてもらえたら、さらに、早く、見つけられますよね。

キャッチしやすい場所にボールを投げてくれるキャッチボールの相手と、会話を楽しんでください。

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この記事を書いた人

ナレーター/朗読家/司会/声とことばのトレーナー

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