朗読「フランダースの犬」を続ける理由

取り巻く世界はぼんやりとし、周りが何を言っているのかよくわからない。雑誌や新聞の文字が頭に入ってこない。当然、文を声に出して読むこともうまくできませんでした。テレビを観てもわからないし、メールも打てない。何か伝えたくても、言葉が浮かんでこない。
周りは何も変わっていないのに、私はポツンとひとり立ち尽くして途方に暮れていました。これからどうやって生きていけばいいのか全くわかりませんでした。もう大好きな仕事はできないんだとわかっていながら、認めたくない自分もいる。そんなつらい気持ちを訴える言葉が迷子になって伝えることもできず、みじめで、行き先もなく真っ暗闇の海を漂うような日々でした。
 
そんな私が変わったのは、「フランダースの犬」との出会いでした。誰とも会いたくない私を誘い出してくれたのが朗読サークル。楽しそうに練習しているみなさんを見ているだけで心が氷解していきました。でも、それだけではなかったのです。欠員の代役を突然頼まれて私は窮地に陥りました。できない。無理。このまま帰ってしまいたい。でも、一人で帰ることもできない。ああどうしよう。たった3つの短い台詞。こんなに待ち望まれてるんだ、やってみよう。ただの練習の代役だもの。こんなにドキドキしたことは生放送の現場でもありませんでした。できるかどうかわからない恐ろしさ。第一声がちゃんと声になって教室に響いた時、みなさんが、喜んでくれた時、うれしくてうれしくて涙が出そうになりました。今までたくさんのつらい涙を流してきたのに。今まで経験したことのない喜びで全身が満たされました。この時の感動を一生忘れません。
人生のすべてをあきらめかけた私に、『フランダースの犬』 はことばで伝える喜びをもう一度気づかせてくれました。
私にとってかけがえのない「フランダースの犬」。
あきらめないことを伝え続けて行きたい。
そうして13年間、ずっと続けてきた朗読。そして、これからも。
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歌を歌うとこんなにはっきりした発声になる!

「今度合唱で舞台に上がるんです」。それは楽しみですね、と私。何を歌うのですか?と聞くと「4曲歌います」とのこと。4曲ともよく知ってる曲なので、歌詞も口ずさんで出てくるはず。きっと気持ちよく歌えるでしょう。少し不安そうでしたので、一番不安な楽曲を歌ってもらいました。その曲は、音程の高低差が一音一音であり、随所にことばの意味とは違ったところにアクセントがありました。確かに一本調子になりがちで、難易度が少し高いのでした。そこで、目で見てわかるイントネーションのラインを引きました。さらに、まどろっこしいという言い回しを同じ1音の口唇を形をすべて記号で印をつけました。そのラインと記号だけを見て歌ってもらいました。すると、見違えるほど音程も歌詞も安定したのです。とてもいいですね❗うれしくなって私も拍手。Fさんもうれしそうでした!家で練習できるように、他の箇所もラインと記号を書き入れました。これで大丈夫!自信をもって、本番、がんばってくださいね!

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絵を描くことをおすすめする理由

ほんとうに朗読ほどさまざまな言葉のトレーニングに適しているものはないかもしれません。速読、滑舌、意味理解、アクセント、プロミネンスetc。絵を描くことも意味理解からプロミネンスに移行するアプローチとして有効と思います。「雪の女王」の冒頭の文章からイメージしたものを描いてもらいました。その絵を説明してもらいました。興味深いことに文章を「読む」ことより、自分の言葉で説明することの方が言葉の表情が豊かなのです。私は絵がとても下手なので笑ってごまかしますが、上手い下手は関係ないのでぜひやってみてください。

 

 

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アメリカのオンライン失語症サポートグループ「Aphasia Recovery Connection (失語症回復コネクション)」

アメリカのオンライン失語症サポートグループ「Aphasia Recovery Connection (失語症回復コネクション)」が無料・著作権抜きでAphasiaAwareness (失語症アウェアネス)のポスターを以下のサイトで掲載しています。英語のポスターですが、失語症への理解を広めるために、是非ご利用ください。皆さんの啓発活動へのご参加をよろしくお願いします!

www.AphasiaRecoveryConnection.Net

ポスターの訳:
「失語症」
失語症は見えないけど、本当にあります。
失語症は話すこと、読むこと、書くこと、言葉を処理するプロセスに影響するのです。

失語症は人間関係にも影響します。例えば外食、テキストでのメッセージ、用紙記入、コップ一杯のコーヒーを注文…

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脳出血を乗り越えて

 

「神がくれた左手」。
北村宏史さんは対局中に脳内出血で倒れ、右半身麻痺と失語症の後遺症が。
長い入院生活と懸命のリハビリ。
碁を打つ手を左手に変え、栃木県代表として再び碁盤に向かったのです。
物静かで知的でユーモアたっぷり。
とても素敵な方です。
その北村さんが今回初めて、囲碁の楽しさを伝えたいと教えてくれることとなりました。

北村さんをご紹介します。
4歳の時、父から手ほどきを受け囲碁にのめりこむ。
学生本因坊戦全国大会2位
アマ本因坊戦全国8強
栃木県代表10回以上
第11期阿含桐山杯3回戦進出
天の才を持ちながらプロの道へは進まず
父の創業した株式会社北村金物を継ぐことを決意。
代表取締役として経営を担いつつ、アマチュアとして碁を打つことはやめなかった。
2018年対局中に脳内出血で倒れる。
右半身に麻痺が残り、利き手の右手も言葉も失った。
碁を打つ手を左に変えた。
2019年第14回朝日アマチュア囲碁名人戦全国大会に栃木県代表で出場。
世界アマ囲碁選手権日本代表決定戦2連覇の強豪に敗れるも、神が残してくれた左手で碁盤に向き合い続ける。
「碁の楽しさを教えたい」。
穏やかな笑顔で夢を語る。

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