新刊「音でわかってすぐに使える失語症ことばの手帳」への思い

私自身の失語症リハビリ体験と7年間失語症の方のボイストレーニングを行ってきた経験から得た知識とアイディアを1冊の本にまとめました。「音でわかってすぐに使える失語症ことばの手帳」(エスコアール出版)です。今まで、失語症の方の言葉のトレーニング本として、「よくわかる失語症ことばの攻略本 ことば体操編」「よくわかる失語症ことばの攻略本 音読編」を刊行しました。教室に通うことができるのは距離的にも可能で、失語の状態も本人が自主的に受講できるごくわずかなひとです。受講に困難な遠方の方が自主トレーニングできるように作成したのがよくわかるシリーズ2冊でした。イラストを多用したり、発声する文もリズム感を大切にしたりと工夫をしました。今回の本は、さらに、失語症の方がひとりで安心して外出できるように、日常に使う言い方を場面に応じてまとめ、さらに、音声ペンによる音声のガイドを復唱することで、文字による視覚情報だけでなく、音による聴覚情報によって、より、脳内の情報処理の手助けをすることができます。復唱が困難な方へは文字による音読もできますし、失語症の症状のひとつである残韻に悩んでいる方は、繰り返しリピートすることで、逆に正しい言い方を習得できます。本の大きさはカバンに入れられるサイズなので、外出する時携帯できます。それによりどこでも使えること、また、トラブルに見舞われた時、災害や、緊急時など、とっさに状況を説明することが困難な時には、音声ペンを使うことで、相手に伝えることができます。正しい情報の伝達が可能であれば、外出に積極的になれることと思います。私自身、当時ひとと会うのが嫌だったのは、変なことを言っているかもしれない、なにか言われてもわからないことが不安だったからです。教科書のような文章の練習ではなく、実生活に使える言い方の練習が社会復帰への近道だと確信しました。音読では、前に出てきた似ている言葉を言ってしまう苦労がありました。音が残っているからです。そこで、だったら、そこを逆手にとって練習すればいいのだと気づきました。実際、教室では、リピート法を取り入れています。まさに、私の体験を形にした本が出来上がったのです。慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座主任教授安保雅博先生が、今回、帯でも推薦してくださいました。どうぞ、多くの方の手に届き、笑顔でことばのトレーニングができますように。

http://www.escor.co.jp/products/products_item_books_kotoban_no_techou.html

 

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この記事を書いた人

ナレーター/朗読家/司会/声とことばのトレーナー

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