音と文字のダブルで意味理解しましょう!

おかあさまに付き添われて1時間半かけてやってきたTさん。関啓子先生にわたしのことを紹介されてやってきたというSさん。お二人とも若い女性です。今日はちょうど男性2名、女性2名だったのでそれぞれパートナーになってロールプレイングしてもらいました。

まずはインタビュー自己紹介です。なにを質問するのかはインタビュアー役の方におまかせするのですが、興味のあることをなんでも聞いてください、と言っても最初はなかなか出てきません。そこで、今回も最初にみなさんに、どんなことを聞きましょうかね、と訪ねました。「名前ですかね〜」そうですね。「ここに来ることになった理由!」いい質問ですね。「最近の報告。会社では必ず報告がありましたよ」なるほど。それらをホワイトボードに書き、あとはおまかせです。質問に対しての答えもホワイトボードに書いていきました。これが失語症の方の会話の手助けになるのでした。つまり、音からだけの意味認識ではまだ困難なひとが、文字という視覚情報をプラスすることによって、イメージの具象化がしやすくなるというわけです。特に、漢字は表意文字であるため理解を大きく助けます。質問をひととおり終わると自由質問。みなさん、ホワイトボードを見ながら質問を展開していきました。今までやっていた仕事についての質問や、どうやってパソコンのキーボードをたたくのか、など、プロのしゃべり手顔負け、なかなかのものです。途中からどうしても聞きたいという声があがったのは好きな食べ物、きらいな食べ物。これは大いに盛り上がりました。やはり、もっとも自分に置き換えやすいだれでも関心のあるものなのでしょう。それでも、答えにつまる場合は、インタビュアーの方に2者択一にしてみたらどうですか?と助け船を出しました。 すると、「肉と魚、どちらが好きですか?」と質問。「う〜ん、魚です」と答えが返ってきました。「え〜、オレはぜったい肉だな〜」会話はまたまた盛り上がり・・・。そうです、これで、コミュニケーションが成立しているのです。

このインタビュアー自己紹介は初参加の方がいる時だけ行いますが、なにしろ盛り上がるので30分以上かかります。

その後、ゆっくり時間をかけて準備運動。顔の運動。呼吸法。これらはしっかり声を出す基本。とても大事なことで続けて身につけることに意義があります。特に呼吸法は失語症の方にとってとても大切です。微弱な発声を力強いものにしていくためにどうしてもみにつけてもらいたいのです。最初はなかなか難しく、吸う・吐くと身体が逆になってしまいがちです。逆とは、横隔膜までしか呼吸を誘導できず胸部までの浅い呼吸です。浅い呼吸で大きな声を出そうとすると声帯と痛めてしまいがちです。深い呼吸でしっかりした声を出すベースを作ります。ひとりひとりのおなかに手をあて、呼吸に伴っておなかが膨らむ、ぺしゃんこになるを何度も繰り返しました。ほら、今できましたよ!と教えてあげても、不思議そうな顔をしている方もいます。いいんです、それで。脳からの指令で運動させるのではなく、身体の自然な運動ですから、意識はあくまで呼吸の誘導。続けているとできるようになります。

続いての発声練習は二人ひと組男女のペアで、恋人どおしになってもらいました。5年ぶりに再会した恋人どおしが、あいさつを交わすシチュエーションです。場所は、パリのエッフェル塔付近。それぞれのカップルは、「ボンジュール!」「は〜い!」とさまざまな距離間であいさつします。遠くに見える恋人にむかってあいさつする時の声は、おなかからしっかり出ていました。

それにしても、若い方の失語症。これからやりたいこと=目標がある方を応援していきたい、心からそう思うのでした。

【本日のカリキュラム】

①インタビュー自己紹介

②準備運動

③顔の準備運動

目パッ 鼻の下伸ばす 前の歯茎見せる 歯をガチガチ

④あいうえお体操

⑤腹式呼吸  風船

⑥大声発声法

⑧朗読 「おづるばあさん」

⑨感想&いいところ言い合おう!

 

次回は10月14日(火)、10月28日(火)です。また来月!

 

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この記事を書いた人

ナレーター/朗読家/司会/声とことばのトレーナー

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