八方ふさがりだった復唱が、できた!

文字による視覚情報と復唱による聴覚情報、漢字による意味理解とひらがなによる発音のリード、文章では語のかたまり、そして、繰り返しによる残韻。それらすべてを総動員してもなお、音韻変換がうまくいかない。「わからない」と頭を抱える。日本語を母国語にしているので、日本語での知識の蓄積はあるのです。さらに、その方は、「言葉」を扱い伝える仕事に就いていらっしゃる。どのアプローチで通路を開通させることができるか、さすがに私もどうしたものかと立ち止まってしまいました。なんとかして糸口を見つけたい。試行錯誤を繰り返すうち、「こういう言い方ですよねえ」とその方がふとつぶやいた言葉を聞いて、それだわ!突然わかったのです。その言葉のイントネーションはわたしが何度もリードしているものとは違うものでした。そうなんです。その方は大阪出身でバリバリの関西弁。なので、わたしの発する標準語の発音では、外国語を習得するのと同じ通路が作動してしまう。蓄積してきた音韻と意味理解のマッチングとは別の回路です。つまり、わざわざ険しい山道を歩かされているようなものだったのでした。ためしに、関西弁のイントネーションでリードしてみると、なんと!いとも簡単に、正確な発音で復唱したのです!そうだったんですね!うれしくて、わたしの方が興奮してしまいました。なにも、アナウンサーになるわけではありません。その方が日頃使っている話し方や方言が蓄積された箱を開ける方がたやすいのであれば、その方がいいに決まっています。早く、「わかった!」「できた!」が実感できるのです。わたしもとても勉強になりました。関西弁アクセントを学習しなければ。

次回は5月9日です。

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この記事を書いた人

ナレーター/朗読家/司会/声とことばのトレーナー

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