朗読がなぜいいか

前回から朗読を行っています。「少年と子だぬき」という童話です。原作はひらがなが多いのですが、教室用にできる限り漢字に変換しました。ひらがなは意味をなさない表音文字のため失語症の方にとってはとてもハードルが高いのです。視覚から入ってくる情報はただの文字です。ひらがなさえ読めれば声に出すことはできますが、ひとめで意味がわかるわけではないのでアクセントを置くことができず、棒読みになります。その点漢字は表している事象のイメージを持つことができます。意味がわかれば名称とのマッチングができおのずとアクセントがつけられます。日本語はすばらしいですね。失語症の方にとって最強の味方です。

初めて原稿を手に取った方が3名いたので、2組に分かれました。初めての方は内容を理解することよりも、目で文字を拾い声に出して読む。これだけでいいのです。前回初見で音読した方は、今日は漢字にふりがなをふって音読します。それぞれ練習できたら全体で一緒に音読。ここで、音読が難しい、全員での音読についていけないという方はグループになってもらい、語のかたまりごとに○で囲ってもらいました。助詞以外の最小単位の言葉です。これは、視覚情報処理の手助けをするためです。語のかたまりは漢字と似た役割を担います。表意文字化するわけです。「わかりやすい!」の声。その後の音読は格段に上手になりました。音読得意チームは、情景を思い浮かべながら読む練習をしてもらいました。

朗読はさまざまな練習方法があり、最後に達成感が得られるという点からも優れた題材です。少しづつ取り入れていきたいと思いました。

次回は5月17日です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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この記事を書いた人

ナレーター/朗読家/司会/声とことばのトレーナー

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