ブルーベリー農園を作ろうと思った理由

まるで日本の原風景のような里山が広がる叶谷に農場はあります。その農場では、トマトや玉ねぎ、ニンジン、ニンニクなどの野菜を農薬を使わず、有機肥料だけで作っています。私は、土に触れ、畑を耕し、種を撒き、風を感じ、野鳥の囀りに耳をすまし、収穫し、薪をくべ、おじいちゃんやおばあちゃんと笑い、そうやって何度目かの季節を過ごしてきました。年月を重ねるごとに、そういった営みには、ひとをひとたらしめる力がある、健やかな生き方の原点があると感じられるようになりました。

働き盛りで失語症というハンディキャップを背負うことになった方が、仕事を失ってしまうことは珍しくありません。企業は障害者雇用を促されましたが、「読む」「書く」「聞く」「話す」が困難なコミュニケーションハンデを持つ失語症者が、今までと同じ職場に同じ働き方で復帰することはなかなか難しいのです。そんな中で、農業は、失語症の方にとって、力を発揮できる仕事なのだと気づきました。草を取ったり、収穫をすることは、複雑な作業ではありません。でも、なくてはならないとても大事な作業です。また、自然の中で五感を刺激されることによって、室内での言語訓練とは違い、感覚によって言葉が生み出されるように思います。きもちがいいね、そう感じただけで笑顔になります。ブルーベリーの収穫は量が多いのでたいへんですが、大きな力を必要としないし、重量もさほどないので、運動機能ハンデを持った方でも可能です。ひとに必要とされること、役に立っていることによる存在意義の確認、なにより、働くことへの対価=収入を得ることは自立への一歩になることと思います。ブルーベリー農園が失語症の方々への自立への支援につながりますように。

https://readyfor.jp/projects/blueberryfarm

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この記事を書いた人

ナレーター/朗読家/司会/声とことばのトレーナー

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