神がくれた左手

日暮れ時
竹林を背に静かにその時間は始まりました。
「北村宏史 囲碁の世界〜楽しみながら思考を育む」。
やわらかな声。やさしい笑顔。

「神がくれた左手」。

4歳の時、父から手ほどきを受け囲碁にのめりこんだ北村さん。

瞬く間に才能は開花。
学生本因坊戦全国大会2位
アマ本因坊戦全国8強
栃木県代表10回以上
第11期阿含桐山杯3回戦進出

でも、天の才を持ちながらもプロの道へは進みませんでした。
父の創業した株式会社北村金物を継ぐことを決意し、
経営を担いつつ、それでも、アマチュアとして碁を打つことはやめませんでした。

2018年、対局中に脳内出血。
対戦相手につきそわれすぐに救急車で搬送されたものの、右半身に麻痺が残り、利き手の右手も言葉も失いました。

長い入院生活と懸命のリハビリ。

そして、碁を打つ手を左に変え、再び碁盤に向かった北村さん。

2019年第14回朝日アマチュア囲碁名人戦全国大会に栃木県代表で出場。
世界アマ囲碁選手権日本代表決定戦2連覇の強豪に敗れるも、その顔には笑顔が。

神が残してくれた左手で、再び碁盤に向き合い続けています。

物静かで知的でユーモアたっぷり。
その北村さんが初めて、囲碁の楽しさを伝えたいと教えてくれました。

白と黒の凜とした空気があたりを包みこみました。

囲碁を由来とした日本語がこんなにも多いのかと新鮮な驚き。
90分が瞬く間に過ぎた頃、
北村さんの作る空間が自然と調和していました。


「碁の楽しさを教えたい」。
穏やかな笑顔で夢を語る。

2月から北村さんの囲碁教室が始まります。

 

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この記事を書いた人

ナレーター/朗読家/司会/声とことばのトレーナー

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