「いつも車で送り迎えしてくれるおとうさんにプレゼントしたい」とクリスマスの日に鍵盤ハーモニカでジングルベルを演奏することにしたHさん。鍵盤ハーモニカは弱い発声を呼吸体操で改善するための一環として取り入れてきましたが、子どもの頃ピアノを習っていたHさんは
楽曲を弾く楽しさを知っていたので、意図せずとも強く長い呼気でメロディーを奏でることができました。
Hさんはメロディライン、私は伴奏をすることに決め、迎えた当日。
「父がちょっと機嫌があまりよくなくて、車から降りて来ないんです」。
実はおとうさまもご高齢で息子さんを乗せての運転はとても疲れるのです。機嫌が悪いというのは親子だからの表現で、おとうさまにも疲労を回復するまでの時間が必要なのです。もう少ししたら夫が迎えに行きますから、それまで私達は練習しておきましょうと促しました。
夢中になって練習していると、身体がぽかぽかしてきました。すると、おとうさまが入ってきました。
「今日はクリスマスプレゼントがあるんです」とHさん。
「そうなの?」
おとうさまを椅子に案内すると、「せ〜の」の合図で弾き始めました。
途中、何度かまちがったりしましたが、それでも、とまることなく、最後はぴったり息があって・・・。
「よかったよ」
おとうさまのひとことを聞いて、Hさんも私も胸がいっぱいになりました。
がんばりましたね。Hさん!
「肺活量が増えたと思います」Hさんもうれしそうに答えました。
音楽の持つ力は大きいと改めて思いました。特に、鍵盤ハーモニカは失語症のある方の発声トレーニングに強力な味方になってくれるでしょう。
もうひとつのプレゼント、朗読「クリスマスキャロル」はのちほどご紹介します。こちらもすばらしかったです。H さんの努力はおとうさまへの感謝へとつながっていることがわかり、2019年のクリスマスはあたたかい心に満ちたものになりました。メリークリスマス❗
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