働き世代の失語症 ①復職・就職の現状

30代、40代、50代といった働き世代の失語症はさらに過酷な現実を突きつけます。働き世代とは一家の収入を担うポジションにある人達です。コミュニケーションがとれない状況を想像してみてください。仕事復帰が困難になっても、その不安やこれからのことを夫婦で話し合うことができない。住宅ローンのこと。子どもの受験のこと。親の介護のこと。子どもが悩んでいる時その思いを受け止め言葉で返せないもどかしさ・・・。

なんとか自分の人生を背負っていく覚悟はできたとしても、復職、就職ができず収入が途絶えた場合、存在価値を見出すことは並大抵のことではありません。復職率は2〜3割程度と経済的自立の壁はとても高いのです。(*「在宅失語症者の経過」より)

失語症者の経済的不安を見逃すことはできません。私達は、誰も平等に人間の尊厳をもって生きる権利があります。働いて収入を得ることは、自立の証であり、尊厳の確立でもあるのです。もちろん、重度の失語症者や高齢者の方、すべてに就業を促しているのではありません。働き世代の働く意欲がある方が就業できる仕組みは喫緊の課題としての対策が必要に思います。就業に関しては、失語症者を雇用すると言ってもどんなことができるのか、どんなサポートが必要なのか、そもそも、失語症とはどういうものなのか、企業のみならず、一般社会においてほとんど理解されていない現状があります。

失語症は今まで蓄積された知識や情報はほとんど失われていません。ですから、残存する能力を生かした仕事で対価を得ることは自立へつながり、就業者数の減少に頭を抱える企業にとっても人手確保になります。

今、企業は障害者雇用を義務づけられており、さまざまな障害のサポート体制は徐々に整いつつあります。では、コミュニケーション障害である失語症のある方をどのように雇用したらよいでしょうか。失語症の理解が不十分であれば一歩を踏み出せないのは当然です。人事担当者が雇用を決めたとして、その部署の上司や同僚はどのように接し、サポートすればよいのでしょうか。コミュニケーションがとれない状態をどう理解しサポートすればよいのか。失語症を理解し、コミュニケーション障害である失語症のある人とコミュニケーションをとる方法を学ぶことで、心のバリアフリーを実現した職場が生まれます。また、失語症の方とのコミュニケーションを学ぶことは人材を大切に育てる企業の強みとなでしょう。

企業研修「失語症を学ぶ/失語症のある方とのコミュニケーション ソートフルコミュニケーション」

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この記事を書いた人

ナレーター/朗読家/司会/声とことばのトレーナー

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