メモをとるトレーニング

会話の中で、「何時」に「どこで」はとてもよく交わされる言葉です。でも、この「何時」に「どこで」が失語症のある方にとってはとても難儀なことなんです。まず、口頭で○時と言われても数字が浮かんでこない。または、時刻のイメージがつかめない。では、メモをとればいいのでは、と思われますが、数字が浮かんでこないものをどうやって書いたらいいでしょうか。音をそのまま書く方法もないわけではありませんが、仮名との照合に気を取られているうちに、肝心の「何時」という情報がどこかに行ってしまうのです。「本当にぜんぜんわからないです」と笑いながら話してくれるのですが、その「ぜんぜんわからない」状況が、社会生活においてどれだけ不自由なことだろうと胸が痛みます。情報の共有ができないと、約束できないひと、仕事ができないひとと思われてしまい、信用されなくなってしまうことを心配する失語症のある方は少なくないように感じます。人間性を誤解されることほど悔しく悲しいことはありません。なんとかして、メモをとる方法を見つけてあげたいとさまざまなアプローチを試みています。実際にこんな方法でメモをとっているという受講生の方のアドバイスも取り入れています。失語症はひとによって困難の現れ方が違うので、そのひとに合った方法を見つけトレーニングしていきたいと思っています。

 

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この記事を書いた人

ナレーター/朗読家/司会/声とことばのトレーナー

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