「私にぶつかって転んでしまった男の子」

「兄弟どうしでふざけて前を見ないで歩いていた男の子が、私にぶつかって転んでしまったんです。右半身麻痺の私は男の子を起こしてあげることができず立ったまま。そのうえ、失語症ですから、とっさに言葉も出ません。かけよってきたおかあさんが「なんて失礼なひと!」と言わんばかりに私をにらみつけ、男の子の手をひっぱって行ってしまいました。悲しいとか、悔しいとかいうより、やりきれない思いで落ち込みました」

リハビリも兼ねて、あまり遠くない外出には杖を使わずに歩くようにしていたため、はたから見れば健常者と変わりありません。おまけに言葉もなく立ったままなのですから、不躾な大人と見られてもしかたがないのです。

そのことがあってから、外出には必ず杖を持ち、援助や配慮が必要とわかるバッジをバッグにつけるようにしているそうです。

障害があることを周囲に知ってもらうことは、誤解を防ぎ理解しあえることにつながります。それは一方向通行からくる悲しさを消してくれます。小さなお子さんにとっても大事なこと。助けたくても身体が動かないひとがいること、「ごめんなさい」と言わなければならなかったのは自分であることを理解できるとてもよい機会です。思いやりのあるやさしい社会は、互いを理解しあうことで実現していくのではないでしょうか。

 

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「私にぶつかって転んでしまった男の子」 への1件のコメント

  1. 池田裕子 より:

    自分の状態を周りに知っておいてもらうことはとても大切な事だとおもいます。
    見た目にはわからないけれど 知っておいてもらえていたら・・・。
    そういう事はありますよね。

    本当にぶつかってきた男の子が ごめんなさいって言っていたら
    母親の態度も違っていたし 社会の勉強をさせたでしょうね。

    理解してもらうために やらなくてはいけない事ってありますね。

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