オープンレッスンは国定忠治で発声滑舌

「おじいちゃんもいっしょに行っていいですか?」

いなかから遊びにきているおじいちゃんが
一緒に参加したいと希望していた。
家族の参加は大歓迎だ。
失語症を理解してもらいたいからである。
生活の中で目の当たりにしている現象がどういうものなのか
本人が何に不自由を感じ、そのためにどのようなリハビリテーションを行っているのか
身内に知っていただくことはとても大切である。

本日のオープンレッスン
呼吸法
レッスンの最初に必ず取り入れる呼吸法は、新鮮な空気を吸いはき出す「循環」を意識的に行う。身体と精神の状態をフラットにする意味がある。
滑舌体操
顔筋マッサージ
これは少し痛い。コリコリをほぐすことが目的だから少し力がいるのだ。
口の形を鏡でチェック。
テキストに新国劇「国定忠治の赤城山」を取り入れた。
朗々と歌い上げる名台詞にはリズムがある。
特にだれもが知っている舞台台詞は役に入りやすく、普段の朗読文よりよりおなかから声を出している。最初あった照れもどんどん消えていき、知らず知らず声じたいにハリが出てきた。
何度も繰り返し、口の形、速読、滑舌訓練、音読を繰り返す。
音の認識による訓練も。
意味認識に入る。感情がついてきた。
最後は配役を決め、舞台さながらに立って発声。

赤城の山も今夜を限り
生まれ故郷の国定の村や
縄張りを捨て国を捨て
可愛い乾分の手前たちとも
別れ別れになる首途だ
・・・

おじいちゃんの忠治役は実に決まっていた。
みんなの拍手と笑顔で本日のレッスンは修了した。
日本語のリズムは美しい。
美しい言葉での発声訓練は精神的リセットにもつながるのではないだろうか。
私自身、楽しいのだ。

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この記事を書いた人

ナレーター/朗読家/司会/声とことばのトレーナー

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